top of page
出産ビフォー・アフター
2024年
インスタレーション|ハーフミラー、木材、壁紙、電球、鉛筆ほか|W3300xH2700xD2700mm
ビフォーの部屋は明るく、一枚の鏡が設置してある。アフターの部屋は暗く、一つの窓(ハーフミラー)が設置してある。今作は出産するまで見えなかったもの、出産してからはもうそこには戻れない自身の体験を元に制作したものである。
ーーー
仕事や制作など夢中でこなしていくうちに、あっという間に35歳になっていた。
35歳以降の初産は高齢出産とされ、さまざまなリスクが高まるらしい。自分の心も体も元気なのでリアリティーはないが、出産において身体的な決断を迫られ焦っていく中、子がいる未来を望み、38歳で出産した。
子が生まれた日を皮切りに「母」となり、小さな身体を恐る恐る抱っこして、毎晩夜泣きする子をあやしながら、自身の不自由さを突きつけられていく。母になった途端、仕事と制作の他、育児と家事を担うことになり、今までより役割が増えていくのだから、当然何かに折り合いをつけ捨てていくしかない。子のために働き自分のやりたいことは我慢するもの、子を預けて夜出歩くなんて母親失格、子を持つことは自己責任など、見えない重圧に息苦しくなる。
今作は私の個人的な立場と経験をもとに、出産する前は見えておらず出産した後に見えたこと、そしてもう元には戻れないということなど、立場を共有することの難しさを起点に制作した。私の子は身体的に女性である。私は自分と子のために緩やかに不均衡をなくしていきたい。
「すすきの夜のトリエンナーレ2024」オークラビル内空きテナント/札幌
bottom of page